「毎月数万円の家賃収入で不労所得を」「将来の年金代わりに」——。 魅力的な言葉で勧誘されるワンルームマンション投資ですが、その実態は多くの人が想像する以上に危険なものです。複数の専門家が警鐘を鳴らす、ワンルームマンション投資に潜むリスクについて解説します。
見せかけの利回りと「隠れコスト」の罠
不動産投資の営業マンが提示する利回りは、あくまで家賃収入だけで計算した**「表面利回り」**に過ぎません。しかし、実際に不動産を運用する際には、さまざまなコストが発生します。
主な「隠れコスト」は以下の通りです。
- 銀行の金利: ローンを組んでいれば毎月支払う利息。
- 空室期間: 入居者がいなければ収入はゼロ。
- 不動産取得税・固定資産税: 購入時と毎年発生する税金。
- 管理費・修繕積立金: 物件を維持するために必要な費用。
- 広告費: 次の入居者を見つけるためにかかる費用。
これらのコストを差し引くと、表面利回りからは想像できないほど実質的な利回りは低くなります。最終的には、毎月赤字になり、家賃収入を上回る持ち出しが必要になるケースがほとんどです。
「節税になる」「保険代わり」という甘い言葉の裏側
営業トークで頻繁に出てくる「節税」と「生命保険代わり」という言葉も、鵜呑みにしてはいけません。
- 「節税になる」という嘘: 確定申告で減価償却費などを計上することで還付金が戻ってくるため、節税になると言われます。しかし、これは「年間で大きな赤字が出ているから、その一部が戻ってくる」というだけの話です。投資全体としては大きな損失を抱えており、決して儲かっているわけではありません。
- 「生命保険代わりになる」という誤解: ローンを組む際に加入する団体信用生命保険によって、万一の際にはローン残高がゼロになり、生命保険の代わりになると説明されます。しかし、これは収益性の低い物件を高値で購入することで得られる、非常に割高な保険です。本来の目的である投資で利益が出ていない時点で、本末転倒と言えるでしょう。
資産価値の毀損と銀行の信用力低下
ワンルームマンションは、時間の経過とともに価値が下落していく「負債」であると指摘されています。築年数が経てば経つほど価値は下がり、将来売却しようにも、ローン残高を下回ってしまい、追加の持ち出しが必要になるリスクが高いのです。
さらに、ワンルームマンションのローンを組むことは、**「銀行の信用を毀損する行為」**につながる可能性もあります。銀行は物件の価値ではなく、個人の安定した所得を担保に融資を行うためです。一度信用を失うと、将来的にマイホームのローンなど、本当に必要な融資が受けられなくなる危険性もはらんでいます。
あなたは狙われていませんか?
このようなワンルームマンション投資の営業に狙われやすい人には共通の特徴があります。
- 大手企業のサラリーマンや公務員、医師: 安定した高い収入があり、銀行からの信用が高いため、融資を受けやすい。
- 30代から40代の女性(OL): 真面目で将来に不安を感じ、コツコツと貯金している人が多いため。
多忙で細かい数字を検証する時間がなかったり、将来への不安を抱えていたりする人が、甘い言葉に乗せられてしまうケースが少なくありません。
まとめ
ワンルームマンション投資は、一見すると手軽で魅力的に見えますが、その裏には多くの落とし穴が隠されています。物件の利回りの低さ、巧妙な営業トーク、そして物件価値の下落や銀行信用の毀損といったリスクを総合的に判断すると、**「ほぼ100%失敗する」**と言い切る専門家もいます。
安易な気持ちで始めてしまうと、大きな負債を抱え、人生が狂ってしまう可能性すらあります。不動産投資は決してギャンブルではありません。十分に知識をつけ、慎重に判断することが何よりも重要です。
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