~定年後に始まる“地獄の返済生活”~
住宅ローンを長期間にわたって返済し続ける高齢者が急増しています。
老後の収入源が年金だけという状況で「毎月7万円以上」のローンを払い続ける生活とは、どれほどの負担なのでしょうか。
今回は実際の銀行員と顧客のやりとりをもとに、住宅ローンが老後にどのような重荷になるのかを掘り下げていきます。
ケーススタディ:定年後も住宅ローンが1,200万円残る夫婦
状況:
- ローン残高:1,200万円
- 金利:1.3%
- 完済予定:80歳
- 現在:定年退職後、年金生活中
- 返済額:月々7万5,000円(ボーナス返済なし)
銀行員:「ご年齢からして、かなり厳しい状況ですね」
銀行員は、顧客の年金生活でこの額を支払うのが難しいと即座に判断します。
年金で足りるのか?実際の収入と支出
顧客:「年金は夫婦で20万円ほど。妻も働いていたので少し助かってます。でも税金や医療費が増えて、生活がギリギリなんです…」
月20万円の収入に対し、ローン返済が7万5,000円。
残りは約12.5万円。ここから生活費・医療費・固定資産税などが引かれるため、貯金を切り崩さざるを得ない状況です。
退職金と貯蓄は…?
銀行員:「退職金や貯蓄での一括返済も視野に入れておられましたか?」
顧客:「はい、でも思ったより退職金が少なくて…貯金も生活費に消えてしまって」
近年、定年後もローンが残ることを前提にしている人が増えており、退職金頼みの計画が破綻する例も珍しくありません。
ローン延長は可能?
銀行員:「申し訳ありませんが、これ以上の返済期間の延長は難しいです。最長期間まで借りていただいておりますので…」
完済年齢がすでに80歳。これ以上の延長は制度上難しく、収入や支出の見直しで乗り切るしかないというのが銀行側の立場です。
高齢でもローンが残る時代に
住宅金融支援機構の調査によると:
- 65歳以上で住宅ローンを返済中の世帯:約3割
- 完済年齢が70歳以上というケースも増加中
- 最長で50年ローンを組む人も登場
長寿化・晩婚化・働き方の変化が影響しており、「退職=ローン完済」ではなくなっている現実が広がっています。
老後破綻を避けるために
住宅ローンの返済は**「定年前に完済する」ことが理想です。
しかし現実には、「月々の返済額を抑えるために最長で組む」人が増加**しています。
事業用ローンであれば最長返済のメリットもありますが、住宅ローンにおいては「長く借りる=長く縛られる」ことになります。
まとめ:今後に備えるには
- 退職金や年金だけでの返済は非常に厳しい
- 仮入れ期間を制度上限まで引き伸ばすのはリスクが高い
- 老後資金・健康・家計を総合的に考えて住宅購入・ローン計画を立てるべき
老後を“返済”に縛られた生活にしないためには、若いうちから計画的にローンを設計し、資産運用や貯蓄も並行して行うことが大切です。住宅はローンを組んで購入した瞬間から自分の資産と思い込みがちですが、ローンを完済するまでは経年劣化とともに価値が下がっていく銀行に対する負債とも言えます。
「80歳完済」を他人事と思わず、将来の自分と家族のために今から備えていきましょう。
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